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121)香港医師の海外流出

 2021年11月24日の朝日新聞朝刊の記事によると、2020年6月に施行された香港国家安全維持法(国安法)を嫌い、医師や看護師が相次いで海外に移住しているそうです。国安法に対する香港の民主派の反対デモは日本を含む世界中で報道されましたが、元々知的レベルが高い香港の医師は英語による情報も多く得ており、民主派の割合も高いはずです。ですから、この事態は中国政府も事前に予測できたと思われます。

 医師不足を改善するために、香港政府は香港外で医師免許を得た外国人医師を呼び込むことを計画しました。国別受験者数で6割を占める中国本土の医師を主に想定していたのですが、その中国本土で医師免許を得た医師の合格率が28%(その他の外国人医師のそれは63%)とひどい成績だったそうです。香港に残っている医師、看護師は、香港政府が画策するこの選抜試験の廃止計画に反対の意思表示をしています。それは当然です。人の命を預かる医師の質を落とすわけにはいきませんから。

 当ブログの現代中国の医療事情からの考察(102)に示したように、中国本土の医師の質は、中国政府の医療政策の拙さから、世界標準よりかなり低いのです。医療は教育と並び、近代国家の最重要な生活インフラです。中国の最近の強権的な対外政策は、医師である私の目から見ても、非常に無理のあるもののように思えます。

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木戸友幸
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