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産業廃棄物に関する話題

 何か硬い話題だなあと思わずに少しお付き合いください。
産業廃棄物についての関心を持つきっかけになったのは、ニューヨーク・ジャイアンツというアメリカン・フットボールのチームの選手の白血病事件なのです。

数年の間に確か3人のジャイアンツの選手が白血病にかかってしまったのです。
アメフトの選手といえば、屈強の若者です。もともと白血病の発生率はどこの国でも1年間で人口10万あたり数人というところでしょう。ですから、プロのアメフト選手、それも同 じチームの選手が続けて3人白血病にかかるというのはとても偶然とは言えません。
その原因として、彼らがいつも練習や試合をする、ジャイアント・スタジアムの環境がやり玉に上がったのです。

このスタジアムは、ニューヨークではなく、ニュージャー ジーにあり、いつでも揶揄の対象にされるのですが、昔何かの工場だった跡地に建てられたスタジアムなのです。ですから、その当時の産業廃棄物がスタジアムの地中に残っていて、選手の健康に影響を与えたのではないかということです。

ニューヨークのクイーンズという区にスターレット・シティという巨大な団地があります。ここはゴミで埋め立てた土地に土をかぶせて造成した団地なのです。家賃はお手ごろということもあり、知りあいのレジデントも何人か住んでおり、僕自身も何度 も訪ねたことがあります。

最初にその団地を車で訪ねるときに、道順を外来ナースのリサに尋ねました。リサは若いのに口が悪いので有名でした。「トモユキはシープス ヘッド・ベイに住んでるのね。そこからだと、ベルト・ハイウエイに乗って、ケネディ空港方面に向かうのよ。15分も走ると、プーンとゴミの匂いがしてくるわ、そこがスターレット・シティよ。」

隣でその説明を聞いていた、そこの住民のデイビッドは、苦笑いしながら、言いました。「そこまで臭わねえよ。」でも、リサはひるむ気配を見せません。
確かに、夏、窓を開け放った車でその近くを通るとちょっと臭ったような感じはしました。
でも、街の中に入ってしまうとまったく気にはなりませんでした。
もちろん、このスターレット・シティで何か病気が発生したということは、僕の知るかぎりではありませんでした。 このように、ニューヨーク時代に埋め立て地に関する情報にはちょっと詳しくなっていたのです。

日本に戻って、数年間、国立病院の公務員宿舎に住んだ後、マンションを買う計画を立てました。その時、値段も手ごろで、環境も悪くないところが、神戸の六甲アイランドだったのです。ここは海を埋め立てて作った人工島です。もちろん、僕が一番知りたかったのは、何で埋め立てたかということです。神戸の人工島は、こ の六甲アイランドも、もう一つのポートアイランドも六甲山を削った自然の土で埋め立てたものでした。
産業廃棄物も家庭ゴミも一切埋め立てには使っていないのです。
この事実が、六甲アイランドのマンションを買う最大の決め手になったことは言うまでもないことです。


六甲アイランドセンター夜景

魚崎方面から見た六甲アイランド

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木戸友幸
mail:kidot@momo.so-net.ne.jp