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L'ETE 1975  

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13)パブロとヘススの掛け合いにウドがとばっちり

 ある日の昼食時、教室から学食まで歩いていく途中のことです。その日の顔ぶれは、金髪、縮れ毛のパブロ、いかついあばた面のヘスス、中年ドイツ人のウド、それに私の4人でした。

 口の悪いパブロは、いつものようにヘススに「インディアン、お前は何て醜い顔をしてるんだ。」みたいなことを言ってからかいますが、ヘススは取り合いません。その日は珍しく小雨が振っていて、ウドはズボンの裾が濡れないように、裾を折ってまくり上げていました。パブロがそれを見逃さないわけはありません。「ウド、そのファッションはドイツで今流行っているものなのか?シックだよな。」と辛辣に皮肉ります。ウドはフランス語の語彙に乏しいので、それに対して洒落た反論ができず、顔を真っ赤にしながら「ノン、アレット。(違う、止めろ。)」と言うのみです。「ウド、顔が真っ赤だぜ。怒り過ぎて俺を殺すなよな。」とパブロは更に追い打ちを掛けます。そうこうしているうちに学食に到着し、ことなきを得ました。

 こう書くと何だか今にも殴り合いが始まりそうですが、この地度の辛辣な言葉のキャッチボールはラテン系の国では当たり前のことなのです。アングロ・サクソン系(英語国)やドイツ人、日本人はこういうのにちょっと弱いようです。同じアジア人でも中国人はこういう悪い冗談には強いようですが。

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木戸友幸
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