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医学教育  


日本型プライマリ・ケア医を求めての旅
(プライマリ・ケア学会第19回近畿地方会、シンポジウム)

(医)木戸医院副院長
木戸友幸

 演者は80年代初めの「家庭医療学」創設期の米国で卒後研修を受け、帰国後は国立病院で一般内科の診療と研修医教育に従事した。その後40歳代半ばにして「理想の家庭医療」の実験をフランスで2年間試みた。97年以降は木戸医院にて、これまでの経験を十分生かした家庭医療を行っている。

上述のさまざまな異なる場での臨床経験から2つの教訓を得た。1)第一線の臨床の現場では、これまでの「細分化する専門医」より「総合する専門医=プライマリ・ケア医」がより求められている。2)少なくとも患者満足度という観点からすると、プライマリ・ケア医の方が勝っているようである。このことは、かなり普遍的に認められている事実であるように思われる。従来的な専門医として研修を受け、大病院で専門医として活躍した医師が地域で開業して成功する条件として、開業医療を続けながら自らの努力でプライマリ・ケア的な項目のセルフトレーニングをすることが従来から普通に言われているからである。

「総合する専門医」を育成するための組織的な研修システムが、ここ数年、関連学会を中心に検討されつつあり、近い将来その実現が大いに望める状況になってきている。
研修システムが完成すれば、これに日本独自の国民皆保険制度と開業中心のプライマリ・ケア医の経済的なインセンティブも加わり、日本型プライマリ・ケアが一気に進むことも予想される。これから国際化も進む日本のことであるので、研修システムに異文化圏の患者も積極的に受け入れていくという医療人類学的な視点も取り入れていきたい。


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木戸友幸
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