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14)パリ生活の中での異文化コミュニケーション、その4

 料理の次にフランスの食に関する文化と言えばワインを外すわけにはいきません。私自身、アルコールはかなり好きな方です。寿司には日本酒、焼き肉にはビールと食事に合わせアルコールを選びます。フランス料理にはもちろんワインです。パリ時代は、やはりワインを飲むことが圧倒的に多かったです。アパートにもいつも数本のワインは置いていました。冷蔵庫には来客用に必ず一本シャンペンを冷やしていました。

  フランスから帰国すると、ワインの本場に2年半住んでいたという理由で、ワインの出る会食の席では、必ずワイン選び係を依頼されました。しかし、正直言うと、どの産地のどの赤が重くしっかりした味で、フィレミニョンに合うとか、何年産のブルゴーニュの味が最高だとかいった日本の「ワイン通」と称する人たちが自慢げに語る知識はほとんど持ち合わせていません。というか、そういうことは、知っていてもそうでなくても、飲んで美味しいワインはおいしいし、まずいものはまずいといったスタンスなのです。さすがに、2年半さまざまなワインをパリで味わったお陰で、舌で味を覚えたので、ワインの質の判別には自信があります。

 パリ時代に、上に述べた自説をワイン好きのフランス人相手に語ったことがあります。その彼も私の意見とまったく同じで、「本当のワイン好きにはワインは二つの種類しかないんだよ。美味しいものとそうでないもの。その他の蘊蓄はまったくのつけ足しさ。」
このスタンスは、フランスではかなり一般的なようで、その後何人かのフランス人にこの話題を振ったところ、やはり同じような返答が返ってきました。
この体験から分かったのですが、「ワインには二つの種類しかない・・・」という意見は、どうもフランスの警句というかことわざ的なものらしいのです。
そうだすると、私はフランス的な意味で本当のワイン好きということになります。ですから、日本でもフレンチレストランに行けば、ワインの選択は予算を告げたうえで店側に全面的に任せます。好みを告げるときも、専門用語ではなく、普通の日本語を使います。皆さんもそうすれば、気持ちも随分気楽になりますよ。

  味が第一ということですから、日本では値段のこともあり、ワインはフランス産にはこだわりません。チリやオーストラリアのワインは1000円くらいのものでもなかなかの味です。スパークリングワインでは、スペインのカバは、ドンペリニオンと同じくらい美味しいです。一本何と1300円とドンペリとは一桁違いの値段です。

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木戸友幸
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