Dr.Kido History Home
E-mail

国際医療協力

ボタンDr. 木戸流「異文化コミュニケーション」ボタン


16)年一回のレントゲンは必要?

 大阪に本社を置く、世界的な家電メーカーがありますが、そこには英語国の外国人社員がある程度の数で勤務しています。その一人であるアメリカ人女性が木戸医院を受診しました。

 彼女の訴えは、年2回ある会社健診での胸部レントゲン写真を免除して欲しいということでした。自分は結核の既往もないし、特に呼吸器疾患の症状もない、医学的な必要がなければ不必要なX選照射は受けたくないといいう理由でした。もちろん、本国アメリカでは病気でもないのに、健診のためにレントゲンを撮る制度はないということがまず最初にあったのでしょう。

 これはなかなか難しい問題でした。確かに医学的には彼女の訴えは正しくて、日本以外の先進国で、理由なく健診として毎年胸部レントゲンを会社が義務づけている国はありません。しかし、ここは日本で、彼女はその家電会社の正社員なのです。ですから、会社の規則を守る必要もあります。
 そこで私の考えた策はこうでした。その会社の診療所長とたまたま面識があったので、所長に直接連絡をとりました。事情を説明して、国際問題に発展する可能性もあるからといった、ちょっと脅かし文句も織りまぜて説得すると、所長は気持ちよく納得してくれました。

 このように、日本以外の国では、人間ドックとか会社健診といった基本的に健康な人に対して定期的に医学的な検査をすると制度がないので、この日本的な制度がちょっとしたトラブルに発展することがあります。検査の中でも胸部レントゲンや胃透視といったX線を浴びる検査が一番問題になるようです。

 本件はこの限りでは、アメリカの制度がより合理的ということになります。しかし、個人的にはちょっとしたわだかまりもあります。それは、ついこの間まで、日本からアメリカに留学する時のビザの条件の中に胸部レントゲン撮影が必須だったのです。ここらにアメリカというか白人国のごう慢さが見えかくれしますね。

| BACK |

Top


木戸友幸
mail:kidot@momo.so-net.ne.jp