164)セブンイレブンでの異文化コミュニケーション
週4日、管理医を務める特養の近所にセブンイレブンがあります。私はそこの朝の常連なのです。特養は10時からなので、少し早い9時に入るのが習慣になっています。飲み物を購入し、イート・インに陣取り、主に英語の小説やノンフィクションを半時間読んでいます。以前、飲み物はヤクルトを購入することが多かったのですが、店で撹拌する新鮮スムージーが発売されてからは、数種類あるのを順に飲むのがルーティンになっています。
さて2024年の秋に、この馴染みのセブンイレブンで、興味深い異文化コミュニケーションを体験しました。ある朝、いつものようにイート・インで英語の小説を読んでいると、隣にアジア系の若い外国人男性が飲み物片手に座ってきました。彼が座って数分も立たないうちに、レジをやっていた男性店員がやってきて、ここはイート・インで、追加料金を払わないと使用できなということを伝えようとするのですが、単語のみの英語ではそれが伝わらないのです。そこで説明抜きで、No, not sit here. みたいな言い方をすると、相手は不満そうな顔つきで、何故かわからず肩をすくめています。隣に座る私は、これは少し問題だと思い、そのアジア系外国人に英語で「ここはイート・インと言って、消費税分の少額を足して払えば、30分くらいの間、利用できるのです。」と説明してあげました。彼は、流暢な英語で、そういうことならテイク・アウトすると言って、私の説明に対し礼を述べた後、笑顔で立ち去りました。恐らく、彼は最初の不十分な説明時には、外国人差別と受け取ったのだろうと思います。その後、件の男性従業員が私のところへ来て、丁寧な礼を述べてくれました。それに加え、もう一人の先輩女性店員(彼女は以前からの顔見知り)が、先ほどの外国人に対する説明の骨子を教えて欲しいと言いました。メモ用紙に英語で箇条書きして、声に出して、読んであげると、これまた喜んでくれました。
この話には、まだ続きがあります。この一件の1週間後、いつも通りの午前9時にセブン・イレブンに入ると、何と白人女性、インド系女性、黒人男性、アジア系男性の4人組の客が、あの女性店員といい感じで談笑しているではありませんか。4人組が帰ってから、女性店員が顛末を語ってくれました。白人女性はアメリカ人で、4人揃ってスムージーを買ったのです。そこで、私が教えたイート・インの説明を店員が彼女にすると、彼女は仲間と相談の上、テイクアウトを選んだそうです。そしてその後、その米国人女性は、旅行中いろんなコンビニで買い物をしたけれど、こんな丁寧な説明を、それも英語でされたのは始めてで感激したと、彼女はバッグからチョコレートの小箱を取り出し、店員にプレゼントしてくれたそうです。
外国語の通じにくい日本では、この程度の簡単な英語による説明でもこれだけ感動を呼ぶのだと思い、私自身が感動した次第です。
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