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2) 医療の質にこだわるイスラエル人

 総合案内のおばちゃんから、最初の依頼を受けたのは、イスラエル人の若い男性、ベンジャミンでした。長髪、髭もじゃで、清潔ではあるがはき古したジーンズとTシャツのいでたちは、ヒッピー(今では死語ですが)そのものでした。受診の理由は咳、のど痛、鼻水の風邪症状だったのですが、私がいつもするように所見を説明しながら診察した後、こじれていないウイルス感染のみの風邪なので、抗生物質の必要はなく、対症療法剤の処方のみで十分と英語で述べました。すると、彼は「ドクターの診察は、納得のいく説明があり、十分満足したよ。これまでの、日本での受診では、説明もなく薬の処方だけだったので、どうも不安だったんだ。」と言いました。その後、彼は心斎橋筋商店街の露天で、手作りのアクセサリーを売っていると話してくれました。その商売はファミリー・ビジネスで、地元の怪しい筋の人たちとも話をつけないといけないというようなことも語ってくれました。それからは、彼だけではなく、彼の弟とか従兄弟も受診するようになったのです。

 イスラエルでは、もちろんユダヤ系の人が国民の大多数を占めています。ユダヤ系の人々にとって、医療は生活の中でもかなり重要な意味を持っています。彼等は、世界のどこにいても質の高い医療を求めます。イスラエル本国の医療の質もかなり高いと聴いています。
そういうバックグラウンドを知らずに、患者の外見だけで判断したこれまでの日本の医師は、ひょっとしたら少し偏見を持って診療したのかも知れません。

 数年たって、ベンジャミンは帰国することになりました。ファミリー・ビジネスは従兄弟が継ぐことになりました。彼は、これまでのお礼にといって、大きな水晶の結晶を使ったアクセサリーを私の妻にと言って、プレゼントしてくれました。

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木戸友幸
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