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26)ユーロで輝けヨッシー

 ヨッシーは日本で中学校まで過ごした開業医の息子です。もちろん両親は日本人です。ところが、彼は高校からアイルランドに渡り、高校卒業後アイルランドで医学校に進み、そこを卒業したのです。現在EU加盟国(アイルランドもそうです)間では、医師免許は共通です。EU圏内ならば、どこの国ででも医師として働けるのです。ヨーロッパ人が外国語に強いといっても、やはり母国語以外の国で医師として働くのにはリスクが伴います。そこは、自己責任ということらしいです。

 ヨッシーが木戸医院を訪ねたのは、私が初代日本人医師を務めたパリ・アメリカン病院の事情を聴きたいということでした。その頃まだ彼は帰国して間もない時期だったので、日本語が少し怪しく、我々は英語で話し合いました。高校で3年、医学校で6年の計9年を英語のみで過ごしたのですから無理もありません。パリの話は興味があるようで、早速フランス語の勉強も始めるということでした。しかし、目下の彼の目標は日本語の勉強と、日本の医師国家試験の準備でした。そのために医師国家試験用の予備校に通っているということでした。

 ヨッシーは翌年に無事、国家試験に合格し、日本で研修医に採用されました。研修医になってから、一度医院を再訪してくれましたが、さすがにその時は流暢な関西弁で会話することが出来ました。彼がこれから、どのような医師人生を歩んでいくのかが非常に興味深いところです。

 さて、インドネシアのエディーや今回のヨッシーの例でみたように、日本で医師として働くためには、日本の医師免許をとらなければなりません。日本人が外国で医療をする場合はその逆のことが必要です。これは先進国では当たり前のことです。EU諸国がやや例外なだけです。最近、日本で特区を設けてそこで、外国人医師を招いて特殊な先進医療をやってもらって医療産業をもりたてようという計画をメディアで見かけることが多いです。しかし、この計画の肝になっている外国人医師が日本で医療行為が出来るという点は、明らかに政治家の無知による誤解です。もちろん、発展途上国が先進国の専門医を招いて、特殊な手術をしてもらったり、指導してもらったりすることはあります。ですから、日本で、外国人医師に日本の資格なしで医療を許可することは、日本を発展途上国に逆戻りさせることなのです。少なくとも、世界はそうとらえます。自意識の強い政治家の皆さん、それでもいいんですか?

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木戸友幸
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