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27)オランダ人を和ませるには?

 2009年の事だったと思います。年一回のプライマリケア学会学術大会で、オランダ人の教授が特別講演をするので、その座長をして欲しいとの依頼を受けました。座長というのは、講演に先立って演者を紹介し、講演後は質疑応答を取り仕切る役です。この講演には同時通訳がつくので、通訳の必要はありせんが、演者に敬意を評して英語を使う必要はありました。オランダ人は英語が得意なのです。

 講演は午後からなので、午前中にオランダ人教授とその夫人を交え、打ち合わせをしました。打ち合わせでは、まず場を和ませることが必要です。場を和ませて話しやすい状況を作り上げてから、いろいろ情報を得て、紹介の材料にするのです。アイスブレーキングとして、考えてきた話題をまず切り出しました。
「今、日本で一番有名なオランダ人は誰だかご存じですか?」
「さあ?、日本で知られているオランダ人がそうそういるとは思えませんが。」と教授。
「ピーター・アーツ、レミー・ボンヤスキーと聞いて、何か思い当たる節は?」
「さあ?・・・。」
「K1ですよ。格闘技の。二人とも、元K1チャンピオンで、日本の若者にとても人気があるんです。」
「へえ?そうなんですか。ニュースで聞いたことがあるようなないような・・・。」
見事な空振りでした。K1は、以前、高校生の三男の付き添いで大晦日の大会に2年連続で観戦して以来、私自身がファンだったのです。アーツもボンヤスキーも元チャンピオンで当時、大変な人気者でした。特にボンヤスキーは、スリナム出身のハンサムで長身の黒人オランダ人で、インパクト抜群の選手でした。

 出だしからつまづいてしまい、焦りました。そこで半分やけくそで、その時思い付いた名前を挙げました。
「それでは、シルビア・クリステル(2012年没)はどうですか?彼女は私の年代(1951年生まれ)では一番有名なオランダ人です。残念ながらほとんどの日本人は彼女をフランス人だと思っていますが。」
私の発言が終わるや否や、教授の隣に座っていた夫人が大爆笑しました。シルビアは、もちろん一世を風靡したフランス映画「エマヌエル夫人」の主役女優です。彼女はオランダ人で、映画で喋っているフランス語は、ちょっと舌足らずで、それが可愛いという向きもありました。しかし、こんなトリビアにこだわる日本人はほとんどいませんよね。

 ここから次第に場が和み、教授の趣味なども自然に聞き出すことができました。講演時の彼の紹介で、His hobby is gardening and bicycle riding. Very European. (彼の趣味は、ガーデニングと自転車です。非常にヨーロッパ的ですね。)というと私の方を向いてにっこり微笑んでくれました。

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木戸友幸
mail:kidot@momo.so-net.ne.jp