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40)スト休暇転じて災難

 夜診の最中に携帯が鳴りました。フランス語なまりの英語です。エールフランスの男性乗員からでした。電車の中からかけているようです。京都のお寺の階段で転んで左肩を打撲してから、左腕が挙がらなくなったとのことです。今、大阪に向かっているので、何とかして欲しいとのことでした。

 医院の夜診が終わってから、その患者に連絡をとる努力をしましたが、いろいろな事情で、連絡がとれませんでした。そこで、脱臼にせよ骨折にせよ、整形外科の診察が必要なことは確かなので、少なくとも受け入れ病院を探すことにしました。大阪市内の基幹病院を5〜6件あたってみましたが、すべて整形外科医が当直していないという理由で断られてしまいました。

 エールフランスの宿泊ホテルにメッセージを残して、翌日の向こうからの連絡を待ちました。すると翌日の昼前に連絡があり、日本人クルーの手助けで、ホテルの近所の私立病院を受診し、当直医にレントゲンを撮ってもらい、脱臼の診断で、応急処置はしてもらったとのことでした。受診病院でもらった和文の診断書の英訳が必要なので、木戸医院を訪ねたいということなので、午後に来てもらうことにしました。

  昨夜、連絡がつかなかったので、怒っているかなと心配したのですが、日本人女性クルーと共に来院した患者は、意外にも上機嫌でした。訊くと、受診した北区にある老舗の私立Y病院は、オーナー院長が整形外科医ということもあり、整形外科の当直医がいて、素早く診断と処置をしてくれたとのことでした。夜中の診療は、基幹病院より私立病院のほうが小回りが効いていいのかも知れません。

 京都を散策するような時間がよくありましたねと何気なく質問すると、フランス本国で乗務員のストが発生して、一週間の運休が決まり、大阪で一週間の臨時待機という名目のヴァカンスになったのだそうです。フランスらしい話です。でもこのヴァカンス、良かったのか、悪かったのか? 本人はまったく気にしていないようなので、まあ、いいか。

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木戸友幸
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