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58)外国人観光客の実力

  大阪梅田の地下街に2014年夏に小さな立ち食い寿司屋が開店しました。そこの前を通る度にちょっと気にかかる店ではありました。それは、店の前に生牡蠣とワインの写真入りのポスターを展示していたからでした。寿司屋というより、パリやニューヨークにあるオイスターバーといった雰囲気の店だったのです。

 2015年の9月のある土曜の午後に、初めてこの店に入りました。先ず北海道産の生牡蠣をグラスの白ワインと共にいただきました。牡蠣1個200円、グラスワイン500円と手頃な値段の割には、牡蠣もワインも十分賞味に値するものでした。その後、いくつかの寿司も注文しましたが、これも悪くはありませんでした。

 それから何度かそこを訪れ、小さな幸せを楽しんでいました。やはりある土曜の午後のことです。いつものように生牡蠣(その日は三重県産)を2個食べた後、いくつかの寿司をつまんでいると、アジア系の外国人男性が、その母親らしい女性と入ってきて私の隣に来ました。彼はそれなりの英語を話し、板さんもたどたどしい英語で対応していました。
 何とか注文はし終えたのですが、何か物足りなそうな雰囲気なので、Can I help you?と話しかけてみました。すると、ここで寿司をいくつか食べた上で、持ち帰り寿司も注文したいと言うのです。それを通訳してあげて、少し雑談しました。香港から5日間の関西旅行に来ているとのことでした。この寿司屋は、ネット検索で見つけたそうです。実は午前中にも来店し、生牡蠣だけを注文し、その味と値段に満足し午後に再度来店したとうことでした。他の寿司屋にも行ったけれど、コストパフォーマンス(味と値段)はここが一番とのことでした。私自身も食に関しては、かなりアンテナを広げているつもりですが、大阪人の私が来店するまでに1年かけたところに、彼は数日で偶然ではなくここに辿り着き、十分満足しているのです。最近の日本への外国人旅行者は、ネットを駆使して、日本での満足度を最大限に上げているようです。レジでの支払いの時に、この香港人との会話の要約を店長に伝えると、店長もニコニコ顔で、「生牡蠣は欧米系、アジア系を問わず外国人にも受けますからねえ。」と満足していました。

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木戸友幸
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