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67)アリとキリギリス
 日本では、イソップ童話の中の一つとして知られている「アリとキリギリス」ですが、この話はフランスではラ・フォンテーヌという寓話集の中の作品として知られています。  内容は、夏中楽しく歌って過ごしたキリギリスが、冬に食べ物がなくなって、助けを求めてアリのところを訪ねます。キリギリスはアリに「夏の間、歌ってばかりだったので、冬になって食べ物がなくなってしまいました。」というとアリが答えました。
 さて、このアリの対応の仕方がラ・フォンテーヌ版と日本版では、違っているのです。ラ・フォンテーヌ版では、Eh bien, Dansez maintenant.(あっそう、じゃ今度は踊れば。)とアリはきわめて冷淡に、また皮肉も少し効かせて、この一言で追い返してしまいます。物語はこの一言が最後で、続きはありません。
 日本版は結論がいくつかあるらしいですが、アリが「じゃ、僕らが蓄えたこの食べ物を食べて、来年の夏もいい声で歌ってね。」みたいなのが多いようです。 フランス人は、誰でも幼児期にこの話を読み聴かされて育っているのです。いい意味でも、悪い意味でも、彼(彼女)等は理屈に合わない同情はする必要はない(自業自得)と考えているようです。
 ですから、フランス人相手に議論をしたり、説得したりするときには、まず、原理、原則を説いて、そうだからあなたにはこうして欲しいと言わないと駄目です。日本式に婉曲的な表現で、周りから攻めるといったやり方をとると、かえって、こちらに何か非があるように誤解されてしまいます。こういう議論はフランス人にとっては日常茶飯事のことなので、これで双方の関係を損なうことはまずありません。

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木戸友幸
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