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79)フィリピン人と英語

 2018年現在の私の職場は、週4回管理医として勤務する港区にある特養と週1回非常勤勤務の西成区の診療所です。そのどちらの職場環境にもフィリピン人の従業員がいます。特養には介護職員の男性フィリピン人、西成の診療所で在宅診療で訪問する施設の一つには女性のフィリピン人ヘルパーがいます。西成区には介護施設が数多くあり、フィリピン人ヘルパーは珍しくないのです。日本で働くフィリピン人は、仕事に差し支えない程度には日本語ができるのですが、やはり母国語の次には英語が圧倒的に都合がいいようです。ですから、この二人のフィリピン人は、私が英語でしゃべりかけると非常に喜んでくれます。

 一度、西成のフィリピン人女性ヘルパーに、現在のフィリピンの英語事情を尋ねてみたことがありました。30年前のニューヨークでの研修医時代に医師や看護師として知り合ったフィリピン人や、日本で患者として診察したフィリピン人の印象から、フィリピン人でも高校教育以上を受けたくらいの人でなければ、英語はそれほどしゃべれないと思っていたのです。しかし彼女が、少々のなまりはあるものの文法的にはほぼ完璧な英語で語るには、今時フィリピンでは小学生でもそれなりの英語は理解できるし、しゃべれるということなのです。ネットで調べてみると、仕事で使える程度の英語人口は、世界でフィリピンが3番目に多いそうです。その英語を使って、フィリピン人は世界中で出稼ぎをしています。その証拠に海外からの出稼ぎフィリピン人からの母国への送金額は、フィリピンの国家予算の1割!を占めるのだそうです。やはりこのグローバル社会で、国際的なコミュニケーション能力は、明らかに国家経済にも影響を与えるのです。

 以前にこのシリーズで書いたように、語学教育は、何も幼少時から始めバイリンガルを目指す必要はありません。しかし、従来から行われている中学からの英語教育は、もう少し工夫をこらして、日本国民でそれなりの知的レベルにある人のせめて半分以上が、ある程度の英語コミュニケーションが出来るようにしたいものです。

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木戸友幸
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