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84)欧米の対中政策の変化

 2019年4月23日の日経朝刊のThe Economistの翻訳記事に、最近の欧米の対中政策に対する方針の変化が論じられていました。
ご存知のように、2010年に42年ぶりに GDP世界2位の座を中国に譲ってからの10年間ほど我が国は、アジアの経済大国として中国としのぎを削ってきました。新幹線技術を巧妙に中国に盗み取られ、その延長でインドネシアの高速鉄道計画の受注を中国にひっくり返されるといったこともありました。また、領土に関しても尖閣列島の帰属を巡り、中国の強引かつ強硬な手法に悩まされ続けています。その度に日本は世界に向けて、中国の手法の違法性を訴え続けてきましたが、世界の発展途上国の多くやドイツ、フランスを含むヨーロッパ諸国もつい最近まで、自国の利益と中国のこの先の伸び代を計算して、その手法をあからさまに批判することはありませんでした。

 今回のThe Economistの記事は、ごく最近になり特にヨーロッパ諸国が、中国の様々な強引な手法に疑問を呈するようになってきていることを伝えています。記事によると、ほんの数年前まで外交官らは中国関係の議論をする時、自国が中国といかに仲がいいかという自慢話を発言の間に滑り込ませていたようです。しかし、こんな自慢は現在は影を潜めるようになっているそうです。発展途上国は、中国の援助という借金で首が回らなくなり、先進国は、様々な先進技術を中国に利用されることに危険性を感じるようになってきているようです。

 一帯一路を強気に進め、今後の経済発展にも強気な方針を示す中国に対し、主に西側諸国の一種の団結したコミュニティーが復活してきていると、ある外交官が指摘しているとも書かれています。
日本の隣国中国は、経済的な競争のみならず、軍事力もちらつかせ日本に圧力をかけ続けています。つい数年前までは、自国の利益優先のために中国の強引手法を許してきた西側諸国が、ここにきて団結し、この手法に異議を唱えるようになってきたのは、日本にとっても悪い話ではないと思います。

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木戸友幸
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