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国際医療協力

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あたふたの医療技術協力

 保健省高官との会談の雰囲気改善には効果のあった医療技術交流ですが、言ってしまった後で少々焦りました。技術交流の日本側の発信者は、外科のK医師と内科の私しかいないわけですし、もともとそんなことをするつもりで来ていないので、何の準備もありません。期限も限られていて、11月中にリヤドのどこかの医療機関で具体的なことをしないといけないのです。さあ大変です。

 K医師は胆道癌の外科を専門にやっていて、最近学会で発表したスライドをたまたま持ってきているのでそれを発表することにしました。私の方は、国立大阪病院の外科医と共同で研究していた癌性胸膜炎の局所治療剤の話と、同病院の放射線科のM医師(連絡要員として協力してくれていた)の開発したMRIによる立体的血管造影法のビデをを発表することにしました。しかし、私の場合は発表のスライドもビデオも大阪から取り寄せないといけなかったのです。早速M医師にファックスで事情を説明し、共同研究者の外科医にスライドを選んでもらい、ビデオと一緒に日本外務省の外交行嚢で送ってもらいました。最初の一報から1週間で資料全てがリヤドの日本大使館に無事届いたのは、皆の協力あってのことですが、我ながら上出来でした。

 さて、本番は11月27日にリヤドのプリンス・サルマン病院において行われました。この病院は、事前に大使館のK医務官に連れられ視察していた病院なのです。そこの外科部長が、日本の医療事情の一端を紹介して欲しいと言っていたことより、今回の決定に至ったわけです。
その外科部長はインド人なので英語はまったく問題ありませんでした。
集まった医師たちもインド系が多かったです。K医師と私の発表には、彼等は反応してくれて、たくさんの質問も出ました。その質問の内容からして、彼等の医学・医療知識はかなり高いことが伺えました。

 講演会の後、外科部長が別室でのお茶(インド人なので、イギリス風に紅茶にビスケット)に招いてくれました。外交辞令が半分でしょうが、我々二人の発表を非常に褒めてくれて、MRI立体的血管造影のビデオを欲しいと言うので、贈呈することにしました。(これは制作者M医師から事前に了解をとってました。)

 病院を後にする時、あたふたの一週間を思い出しながら、一仕事終えた満足感を感じた次第です。

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木戸友幸
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