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リヤドの医療事情

 リヤド滞在中に大使館のK医務官の紹介で3つの病院を視察することができました。(そのうちの一つであるプリンス・サルマン病院で医療技術交換のための講義をしました。)その体験からサウジアラビアの首都リヤド(あくまで大都会の事情ですが)の医療事情を紹介します。

 リヤド到着の項で書いたように、リヤドは高速道路網の完備したお金持ちの近代都市です。したがって、病院も外見、中身ともに非常に近代的で清潔な環境でした。ただCTスキャンやMRIなどの高額医療機器は数少ない基幹病院のみしか配備されていません。しかし、これは他の先進国でも事情は同じで、日本が飛び抜けて多く配備されているだけなのかも知れません。

 リヤドの(というかサウジアラビア一般の)医療で一番特徴的と思われたことは、その人的資源の構成です。信じられないかも知れませんが、そのほとんどが外国人なのです。医師も看護師も、その他の医療スタッフも。その理由の第一は、サウジアラビアが石油による莫大な利益により、その国民が働く必要がないということが挙げられます。サウジアラビアの国民でさえあれば、成人すれば、自動的に家が与えられ年金ももらえるのです。働く、ましてや医療職などといった激務はする気にはなれないのは当然です。またサウジの女性はイスラム文化の教えにより働けないのです。当時は、車の運転免許さえとれなかったのです。

 外国人が医療を担っているといっても、どこの国の人たちが担っているのでしょうか。それは英語に不自由のない外国人と言えると思います。看護師はフィリピン人とインド人が多いようです。医師はインド人とサウジ以外のアラブ諸国(サウジより貧しいアラブ諸国)の医師、例えばエジプト人などです。医師はほぼ例外なく、イギリス、アメリカなどの英語国で臨床研修を受け、専門医の資格を持っているようでした。

 外国人看護師と医師がアラビア語しかしゃべれない患者をどうして診療できるのかと不思議に思われるかも知れません。簡単です。通訳を通して診療するのです。医療環境がさまざまな理由でこの様であれば、それぼどの不便は感じないのかも知れません。男性医師(ほとんどがそう)が女性患者を直接診察することはイスラムの教えにより禁止されています。ですから、女性看護師などが診察して医師に所見を伝えるといったことで診療しているようです。ですから、サウジの医療はこの方式でそれなりにうまく運営されているようなのです。

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木戸友幸
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