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ブルックリン便り  

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けた外れの夫婦げんか
 先日、東京のさる大学病院で、ICU入院中のヤクザの組長がヒットマンに銃殺される事件がありましたね。あのニュースを観て、ブルックリンでのあるエピソードを思い 出しました。
キングス・カウンティ病院のERは患者数の多さでは全米でも五指に入ると言われてい るほど忙しいところです。場所がら一番多いのはgun-shot wound(銃創)とstab wound(刺創)です。そういう外傷の患者で重症の人で、運ばれたとたんもう心臓が 止まてしまう人もいるんです。そんなときは、ストレッチャーの上で開胸心臓マッサー ジをやります。文字通り、胸の筋肉にメスを入れて心臓を露出させ、素手で掴んでマッサージするのです。自身でやったことはありませんが、外科のチーフレジデントが隣 でやっているのを見学したことはあります。ここのERは本当に殺伐とした戦場でした。

  さて、ある夜に50台の黒人男性が腹部の刺創で運ばれてきました。幸い出血量はそれほどでもなくて、緊急手術で一命はとりとめ、手術後、一般病棟に入院となりました。 翌日、その男性の妻が見舞いに来ました。と看護婦たちはそう思ったのですが、そうではなかったのです。病棟に入るやいなや、隠し持ったガンを取りだし、夫のベッドにまっしぐら。そうです。留めを刺しに来たのです。病院常駐の警官がただちに呼ばれ(ERの隣に警官詰め所があり、大男の警官が常駐してるんです。)何とか夫は殺さ れずに済みました。少々の切った張ったでは驚かないこの病院関係者も、この事件で はかなりショックを受けたようで、一ヶ月間はこの話題で持ち切りでした。

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木戸友幸
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