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パートタイム・レジデント

 日本でも2004年からの研修医義務化(今さら何をという感じですが)をひかえ、研修医のアルバイト禁止が取りざたされています。

米国では、レジデントのアルバイトは原則的に禁止です。それでも現実は、かなりの数のレジデントが経済的な理由でバイトをしているようです。
余談ですが、米国でバイトのことをムーンライティングと言います。月の光を浴びる時刻にバイトするというイメージなんでしょうか。名称だけは非常にロマンティックですね。

80年代前半、僕がレジデントをやっていた頃もときどきバイトしているレジデントがいました。もちろん、その頃でもバイトはご法度でした。当時、同期のレジデントでハイチ出身のジャン・ピエールという男がいました。ハイチ人はフランス風の名前を付けますが、この男は現実にパリ大学医学部を卒業した秀才だったんです。でも、経済的には苦しくて、3年目になると、けっこう楽なローテイションもあり、バイトに励んでいました。そんなわけで、彼はあまり病院に居なかったので、陰では「パートタイム・レジデント」と呼ばれていました。

もちろん、レジデント・ディレクターからも注意を何度も受けていたのですが、そこは世界を股にかける苦労人の技で、うまくかわして、結局、3年目レジデントの1年間をパートタイム・レジデントで貫いたんです。開業してからは、成功して悠々とした生活をしていると風の噂に聞きました。

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木戸友幸
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