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キングス・カウンティのカフェテリアの思い出

 レジデントの語源は「住み込み医」ですから、病院の施設の中でも食事を摂るカフェテリアは非常に重要な場所なのです。何しろ「腹が減っては戦は出来ぬ」ですから。

キングス・カウンティ病院では、レジデントは皆、食券(meal tickets)を支給されるので、一応病院内に居るかぎりタダで命が繋がる仕組みになっていました。1年目のレジデントは日曜も祭日も関係なしに3日に一度の当直が回ってきますから、朝から晩までカフェテリアの食事ということもしょっちゅうでした。そのメニューですが、標準的なアメリカの大衆レストラン(ダイナー)のメニューが並んでいると思っていただいて結構です。メインディッシュは日替わりですが、魚よりやはり肉料理が圧倒的に多いです。メインディッシュとパンをとれば、それで一応食事の体裁は整います。

パンの替わりに米をとることも出来ます。ちょっとパサパサの炊き具合ですが、そんなに不味くはありません。米はアメリカでは、野菜と見なされていますが、珍しくはない食材です。
アメリカ人が大好きなハンバーガーはいつでも焼いてくれます。焼き具合もちゃんと指示できるんですよ。
' Make it well-done, please. ' などと指示するんです。サラダやサンドイッチといったメニューもいつでもあります。また、デザートもいつでもケーキ類が数種類は置いてあって、チョコレート・ケーキなどは定番で、ちょっと甘すぎるところを除けばなかなか美味しかったです。

標準アメリカ人の食事量をもとに一日の食券の値段が決まっているので、食の細いアジア人では食券が余ってしまいます。その時は、パックのミルクなどをとって持ち帰りにすればいいのです。
僕はもちろん日本食は大好きですが、こういうアメリカの標準食でも特に不自由なく生活できる人間です。もともと1年目レジデントの生活はストレスだらけで、食べることぐらいでしかストレス発散は出来ないのです。ですから、ブルックリンでの最初の1年間で体重が10キロほど増えてしまいました。

本当を言うと、このカフェテリアで僕が一番気に入っていたのは、朝食のフレンチ・トーストなのです。入れたてのアメリカン・コーヒーとバターたっぷりのフレンチ・トーストは絶妙の朝食メニューでした。

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木戸友幸
mail:kidot@momo.so-net.ne.jp