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アカプルコの思い出(1) -アカプルコの夕日-

 ブルックリンでの研修生活もそろそろ終わりかける3年目の春に、4週間の休暇をとり、アカプルコに旅行しました。マンハッタンの小さな旅行代理店で、比較的安めのツアー旅行を申し込みました。だから、旅行仲間は、マンハッタン北部郊外の初老の眼鏡屋さん夫婦とか、ブルックリンの病院の呼吸療法師(Respiratory Therapist)の女性二人連れとかといった、こちらの庶民ばかりでした。
実は、カリフォルニアのサクラメントに留学していた日本人の友人Kくんに連絡をとってあって、彼はサクラメントから飛んできて、現地で落ち合う約束をしていたのです。

メキシコ・シティでKくんとうまく落ち合う事が出来ました。それからは、市内観光も泊まるホテルも彼と一緒でした。でも実際は、ニューヨークで払った代金は僕一人分なのです。皆さん、信じないかも知れませんが、ツアー観光の客が一人増えたくら いでは、メキシコ人は絶対文句は言いません。ニューヨークからのツアー客仲間も、もう一人仲間が増えたと大歓迎です。メキシコ・シティ観光を終え、アカプルコに着く頃には、我々ニューヨーカーとサクラメントからのKくんは、気の合った仲間同士の関係になっていました。特に呼吸療法師の女性二人とは、年齢も近かったし、男女二対二だったし、楽しいときを一緒に過ごしました。

ある晩、彼女らと一緒に夕食を共にしました。エルビス・プレスリー主演の映画「アカプルコの海」で有名になった「プリンセス」というホテルのレストランにしようということになりました。レストランの評判は分かりませんでしたが、そのプリンセスに隣接する浜辺からの夕日が非常に綺麗なのが有名だったからです。日が沈む前に、プリンセスに到着し、一階のバーで日の入りを待ちました。日の入り近くに浜辺に出て、皆で眺めた夕日は確かに本当に綺麗で、荘厳と言ってもいいものでした。

夕食は4人すべてが、タコス、エンチュラーダの単純なメキシコ料理にそろそろ飽きてきていたので、ホテルの中のフレンチ・レストランにしました。これが何と、結構豪華なレストランで、ワインもフランス産のものを幾種類も置いていました。味もなかなかのものでしたが、物価が安いメキシコでは、当時のお金で一人数千円にしかつかなかったのです。もちろん、僕たち男二人が支払ったのですが、女性二人の感謝の言葉に対し僕らはこんな風に答えたと記憶しています。「俺達日本男児は、メキシコ人に負けず劣らずマッチョなのさ。これまで生きてきた30年で、食事を女性に払ってもらったことなんてただの一度もないね。」

食事に大満足した女性二人は、それでも何か奢り返したいと言ってききません。それで彼女たちの勧めに従い、ディスコに行ったのですが、何と夜中の1時までつきあわされて疲れ果ててしまい、日本男児マッチョ二人は形無しでした。

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木戸友幸
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