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ベトナム戦争の影

 ブルックリンハイツのアパートで、自慢のパスタを御馳走してくれた1年下のレジデントのバートがある日語ってくれた話です。

彼は地元のブルックリンの高校を卒業した後、医学校以外のいくつかの大学で勉強したそうです。最終的にシカゴの医学校を卒業してここのレジデントに採用されたので、僕より5歳ほど年齢は上でした。したがって彼は、ベトナム戦争が泥沼化した70年代前半に大学生だった世代です。アメリカ政府から、くじに当たった大学生に召集令状が届いたのはこの頃の話です。この令状が届いても、1年間は出頭を延期することは できたそうですが、愛国的で真面目な学生の多くがこれに応じ、そしてその多くがベ トナムのジャングルで戦死しました。

「ブルックリン出身の20代の若者が、いくら集中的に数ヶ月間、軍隊のトレーニング を受けても、ベトナムのジャングルでは赤ん坊みたいなもんだよ。」とバートは言い ました。

幸いバートはこの「ロシアン・ルーレット」のような政府のくじには当たりませんでしたが、彼の高校時代の友人の幾人かは、ワシントンDCのあのベトナム戦没者の石碑に名を連ねているそうです。

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木戸友幸
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