Dr.Kido History Home
E-mail

L'ETE 1975  

ボタン L'ETE 1975(10) ボタン

10)マリアに振られた
 マリアはキプロス出身の裕福なギリシャ人女性です。若くて美人ということで、男性は誰もがマリアを狙っていました。もちろん私も例外ではありませんでした。特に用事がなくても話しかけたり、学食に誘ったりとありとあらゆる手段を使って接近を計りました。最初はフランス語を使っていたのですが、彼女はフランス語にまだ慣れておらず、私自身もそれほどフランス語が達者だったわけではないので、どうも上手くいきませんでした。あるきっかけで、マリアはかなり英語が達者だということが分かり、それからはマリアを口説くときは英語を使うようにしました。

 大学にはテニスコートが何面もあって、自由に使うことが出来ました。私はラケットとテニスシューズを持参していたので、ときどきパートナーを見つけてテニスをしていました。裕福な家庭に育ったマリアはテニスが得意に違いないと思い込み、ある時マリアをテニスに誘いました。するとはにかみ屋のマリアは、即答を避けました。私は彼女がいつものようにはにかんでいるだけだと思い、しつこく誘いました。すると彼女は今度は明らかに怒りを含んだトーンで、「あなたはキプロスの状況なんて何にも知らないのね。私の子供時代のキプロスは優雅にテニスを楽しんでるようなところじゃなかったの。」と言ってそのまま去って行きました。
 これは後になっていろいろ調べて分かったことなのですが、当時のキプロスはギリシャ系住民とトルコ系住民の対立が激しく、内戦状態と言っていいほどの状況だったのです。ですから、パス会社の社長の娘といっても、優雅にテニスを楽しんでいる状況じゃなかったのでしょう。

 このことがあってから、数日間はマリアは一言も口をきいてくれませんでした。ということで、海外で恋愛を成就させようと思えば、国際的な情報にも通じていなければならないという教訓を得たのでした。

| BACK |

Top

木戸友幸
mail:kidot@momo.so-net.ne.jp