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L'ETE 1975  

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15)エンリケに付き合い術を学ぶ

 
寝不足ということもあったのか、ある日の授業で体調が悪く、ミリエルからの質問にもとんちんかんな答えを繰り返していたことがありました。昼休みの時間にそのことにいち早く気付いて声をけてくれたのが、女性にも男性にも優しいエンリケでした。

彼は開口一番、低音だが甘い声で「テュ・ア・ビュ・ケルクショーズ?」と訊いてきました。
これは「飲み過ぎか?」くらいの意味なのですが、当時、そういう表現に慣れてなくて、何度も聞き返すと、エンリケは辛抱強く意味を説明してくれました。
「いつもよく出来るトモユキが、今日に限って出来が悪いので、体調が悪いと思ったんだけど、直接そう言うと気を悪くするといけないので、冗談めかして飲み過ぎかと言ったんだよ。」
30分かかってこれだけのことの意味が分かり、改めてエンリケに感謝の意を伝えたうえで、「エンリケは女性にも恐らくそれだけ親切に接するからもてるんだろうな。」と持ちかけました。
彼は、「そうだね。僕は男も女も特に区別なく親切にするよ。確かに女性は、親切にすると、それに感謝していろいろお返しをしてくれるから、有り難いね。でもそれを期待してやっているわけじゃないよ。」と淡々と答えました。

「ところで、今何人くらいの女性とつきあってるの?」と週刊誌的な好奇心からの私の質問。
「3〜4人かな。これ以上増やすと身体に悪いからね。毎夜ベッドを違う女性と共にするのはやはりね。隔日くらいがちょうどいいよ。トモユキも医学を勉強しているんだから分かるだろ?」
エンリケがさらっとこう言うと、まったく違和感がないから不思議です。
でも当時20代前半の私にとっては勉強にはなりましたが、非常に刺激的な発言ではありました。

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木戸友幸
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